真夏日の二日間 第3戦筑波大会に挑む

2025 MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ
第3戦 筑波大会

【J-GP3】
11 中谷健心:レース1 予選8番手/決勝5位 レース2 予選8番手/決勝4位
18 池上聖竜:レース1 予選6番手/決勝18位 レース2 予選5番手/決勝6位

【J-GP3 チャレンジクラス】
51 知識隼和:レース1 予選13番手/決勝8位 レース2 予選12番手/決勝13位
52 国立和玖:レース1 予選22番手/決勝13位 レース2 予選22番手/決勝16位

レース1 J-GP3チャレンジクラス 特別参戦優秀賞として#51 知識隼和が表彰された

 全日本ロードレース選手権シリーズ第3戦筑波大会は、6月21日(土)〜22日(日)に茨城県・筑波サーキットで開催された。今大会はJ-GP3のみの開催で、2レースが行われた。シリーズポイントを考えると、2レース開催の筑波は重要な位置付けとなる。

 MotoUP Racingは、事前に2日間、スポーツ走行に参加して準備を進め、レースウィークを迎えた。今大会にはアジアタレントカップに参戦中の池上聖竜がスポット参戦した。24台が参加した金曜日のフリー走行総合では、#1尾野弘樹が59秒814を記録する。1分を切ったのは尾野のみ。#11中谷健心が1分00秒532で6番手タイムとなる。#18池上は1分00秒591で7番手。2番手から10番手までが00秒台。#51知識隼和は1分01秒287で14番手。#52国立和玖は1分01秒950で18番手となった。

 土曜日の午前に20分間の予選が行われた。天候は曇りだが、暑い1日を予感させた。路面はドライコンディション。残り約1分で尾野は59秒830にタイムを更新するが、#5高杉奈緒子(KTM)が59秒778で首位となる。だが、#1尾野が逆転し59秒588でポールポジションを獲得。2番手#5高杉、3番手に#4岡崎静夏59秒926。4番手#2若松怜が59秒935で、上位4人が59秒台。#18池上は1分00秒255を記録して6番手。#11中谷も1分00秒478で8番手につけた。#51知識は1分01秒014で13番手。#52国立は1分01秒791で22番手となった。この予選のベストタイムがレース1決勝のグリッドとなり、セカンドタイムがレース2決勝の予選ポジションとなる。

RACE1

 午後に行われた、20周のレース1決勝。陽射しが強く照り付け、気温は30℃を超え、路面は60℃近く上昇し酷暑となる。ポールポジションの#1尾野がホールショットを奪う。オープニングラップで2台が転倒、さらにトップ争いに食い込んだ#18池上も第2ヘアピンで転倒してしまう。#18池上は再スタートしてピットイン、マシンを修復してコースに戻るが、大きく順位を落とす。


 #11中谷は6台のトップ争いに加わり#2若松と5番手争いを繰り広げた。トップ争いの集団から#1尾野と#10武中駿が抜け、そのトップ争いを追う#2若松が3番手まで順位を上げ、#4岡崎、#11中谷が僅差で#2若松を追う。14周目、#1尾野を追う#10武中が1コーナーで転倒。#2若松もアジアコーナー立ち上がりで転倒リタイアとなる。#1尾野が今季初優勝、#4岡崎が2位。3位に#7松島璃空。トップ争いを繰り広げた#11中谷は5位でチェッカーを受けた。
 転倒者が続出する難しいレースで#51知識は8番手争いを制した。チャレンジカップ特別推薦枠ではトップとなり表彰された。#52国立はトラブルが出てしまう苦しいレースを走り切り13位でチェッカーを受けた。#50富樫虎太郎はオープニングラップの転倒から復帰して17位となった。


#11 中谷健心
「昨年はケガで欠場しているので、全日本としては初レースになります。予選は残念な部分もありますが、2列目からのスタートなので、追い上げて行こうと思いました。若松選手とバトルをする場面もあり、トップ争いに加わることが出来たことは、自信になりました。レース2では表彰台を目指して頑張ります」


#51 知識隼和
「2日間の練習の時は決勝の20分は余裕だなと思っていたのですが、気温が急激に上がって金曜日のフリー走行30分でも体力不足を感じました。予選では00秒を狙っていたんですが、届かなかったのでグリッドが後ろになり、追い上げのレースになりました。前のライダーをもっと早く抜けたら、もう一つ前の集団に追いつけたかなと思うので、課題がたくさんあります。8位に入れたのは、このチームに所属出来ているからだなと改めて感じます。長島哲太さんを始め、すごいメンバーの方々からアドバイスをもらえる環境に感謝しています。このチームでなければ、ここまで来ることが出来ていないと思っています。チャレンジクラスの表彰台ではなくて、次は本戦の表彰台を目指します」


#52 国立和玖
「事前の練習には参加できなかったのですが、昨年の地方選を含めて何度かの走行経験はありますが、なかなかタイムが出ない苦しい状況で、予選22番手と後方グリッドからのスタートになりました。なので、もう絶対に前に行くしかないとスタートに賭けたんですが、1周目の1コーナーでバネのリングが変形して抜けてしまい、耐える走りになって、トラブルを抱えて全然ペースが上がらなく辛いレースでしたが、走り切ることが出来て良かったです。レース2に気持ちを切り替えて、もっと前でチェッカーを受けることが出来るように頑張ります」


#18 池上聖竜
「アジアタレントカップ(ATC)がメインの参戦ですが、そのための練習として全日本に参戦させてもらえることになりました。レースの組み立てやライディングの勉強をするためです。筑波はそんなに走行経験はないし、マシンもノーマルのままでの参戦です。それでも、自己ベストはほんの少しですが予選で更新することが出来ました。タイトルがかかっているわけではないので、思いっきり走ることの出来る良い機会です。でも、決勝ではすぐ転倒してしまい、数周したんですが、ステップが取れそうだったのでピットインして直してもらって再スタートしました。レース2もあるので、そこでは結果を残したいです」

RACE2

レース2決勝 朝のウォームアップランでも#1尾野は唯一の59秒台を記録する。#11中谷は4番手、#18池上10番手、#51知識12番手、#52国立18番手となる。予選のセカンドタイムで決まったグリッドは、#18池上が5番手、#11中谷が8番手、#51知識が12番手、#52国立が22番手からスタートする。

 筑波サーキットの温度計は36℃を超え、路面温で温度も60℃に迫った。レース1よりも厳しい条件の中でのレース2決勝スタートとなった。ポールポジションの#1尾野がレースをリードする。#1尾野と#2若松、#5高杉のトップ争いとなり、4番手の#18池上を#11中谷が捉え4番手浮上し、#11中谷はトップ争いを追い掛ける。#1尾野は#2若松を突き放し、リードを広げる。2番手#2若松、トップ争いから遅れた#5高杉を中谷は追い詰めて行く。
優勝は#1尾野、2位に#2若松、3位#5高杉に0.933秒差の4位で#11中谷が入った。#18池上は、#10武中、#7松島、#5岡崎との5番手争いを繰り広げ、6位となった。#51知識は13位、#52国立は16位まで追い上げた。チャレンジカップ特別推薦枠トップは11位となった#50富樫虎太郎が獲得した。

 長島哲太アドバイザーは「それぞれに課題がありますが、知識隼和と国立和玖に関しては1年目なので、このクラスに慣れ、走らせ方を覚える必要があります。1年目にしてはかなり頑張っていると思います。中谷健心は、毎戦毎戦、進化した姿を見せてくれています。足りない部分もありますけど、補える学習能力の高さと取り組み方には、目を見張るものがあります。池上聖竜は、スタンダードであれだけのものが出せる速さがあるので、速さはやっぱり一番あるなと思うので、自分の反省点をどう克服していくかの考え方、メンタルの部分をクリアできれば、もっともっと強くなると思います」と語る。

 MiniGPからステップアップしたライダーたちは、切磋琢磨しながら、成長を続けている。

#11 中谷健心

「自分の中では全力を出し切れた決勝だったんですけど、ちょっと表彰台にはギリギリ届かなかったのが悔しいです。昨年は25周のレースだったのが、今年は20周だったので、もう少し周回があったら3位になれたかなと思う悔しさが大きくなりますが、20周で結果を掴まなければならないので、次に生かして行きます。このレースではレース1と同じようなチャタリングが出てしまう状況でしたが、マシンセッティングを考え、自分の走り方を変えて、その影響が出ないように走ることが出来ました。その走り方や考え方を学べたことが大きな収穫でした。これまで尾野さんを視界にとらえることが出来なかったのが、今回は見ることが出来ました。やっと、普通になれたのかなと思います。次のもてぎまで、バイクに乗る時間を増やし、もてぎではレコードを狙って行きます」

#51 知識隼和

「自分のできることはやったかなと思います。でも、抜かれた時に、ちょっと、焦りも出て、集中力も落ちてしまったように思います。茂木まで、しっかりトレーニングに励んで、もてぎでは負けない、チャレンジトップになるという目標を忘れずに切り替えて頑張ります」

#52 国立和玖

「今回はちょっとスタートが思ったよりも上手く行かず、前の集団と離れてしまい、パッシングしても、自分のバイクはスタンダードなので、それ以外のバイクに抜かれてしまい、なかなか、前に出ることが出来なくて…。単独だとタイムが出るのですが、後ろの集団から抜け出すことが出来ずに上手く行かなかったレースになってしまいました。自分のライディングスタイルも、だいぶ変わってきているので、そこに合わせたマシンセッティングを学びたいです。今回の反省点を生かしながら次戦までに、毎日トレーニングをして、出来る練習をして、どんどん良くしていきたいです」

#18 池上聖竜

「レース1で転倒してしまい、レース2の想定が全くできなかったんですけど、一昨年のレースでも予選でも00秒台は記録出来ているので、アベレージは悪くないのですが、中盤から、狙っていたタイムが出なくなり、ペースが落ちてしまいました。ノーマルマシンにはオイルクーラーの装備がなく、後半は辛い状況になってしまったと思います。結果は悔しいですが、良い経験が出来ました。この経験や悔しさを、次のATCにぶつけます。次の全日本もてぎにもチャンスをもらえたら、リベンジをしたいです。ありがとうございました」

高倉純一 チームマネージャー
「レース1は、知識隼和は走り切れたんですけど、中谷健心と国立和玖は、ちょっとトラブルが発生してしまい、反省点が残りました。レース2は3人とも走れる状態にすることが出来て良かったと思っています。中谷健心は4番手で表彰台を狙う所まで行けました。知識隼和はクラス1位に届かず、後半タイトル争いに向けての課題点を残しました。国立和玖は力を出せなかったのは残念でしたが、それでも筑波サーキットは、難しいコースなので、そこで、2レースを経験し成長出来たと思います。全日本の猛者たちと渡り合ったことで得るものは大きかったと思います。次戦に向けて、やみくもに練習しても得るものは少ないので、的確な方向性を示せるようにと思います。また、マシントラブルのないレースをチームとして整えなければならないので、事前にきちんと確認事項などをブラッシュアップして万全の態勢で挑みます」

次戦「全日本ロードレース選手権 第4戦 スーパーバイクレース in もてぎ」
2025年 8月23日 – 24日 栃木県・モビリティリゾートもてぎにて開催されます。